前回よりつづき 「事務室で先生になんてお話ししたらいいのかな?」と問いかけましょう。2022年9月7日
前回よりつづき
「事務室で先生になんてお話ししたらいいのかな?」と問いかけましょう。「いつも通りのごあいさつからね」。「こんにちは、今日もよろしくお願いします」。「そう、その次は?」と促しつつ進めましょう。
思考判断の選択肢も少なく、経験も少ないわが子に最初から正解を言わせようとしても無理です。ですから手伝ってあげるのはかまいません。
「なぜあなたは事務室の先生のところに来たの? マスクを忘れてしまったのでしょう? じゃあ、なんて言って先生に伝える? そしてどうしたいの? そうそう、じゃあ整理して言ってごらんなさい、練習よ」という練習の後、わが子は「先生、今日ぼくはマスクを忘れてしまいました。マスクをお借りしてもいいですか?」と、たどたどしくも言えたではありませんか。大成長です。
そしてこれで終了ではありません。帰りがけにドラッグストアでマスクを購入し、次のレッスンの時に、事務室を訪ねて先生にマスクをお返ししなければいけません。「先生、この前マスクを忘れた時にマスクをお借りしました。ありがとうございます」という口上も練習しないと、ですね。これで任務完了です。
つまり、たかがマスクを忘れたぐらいで、これだけのことをやらなくちゃならないんだという事を、体験を通じて学ぶのです。いやーこんなにメンドクサイことになるなら、最初から忘れないように、出かける前にチェックしよう、という習慣が身につくのです。
どうです、これが実行できる6歳児と、ママにビニールを破いて耳に新品のマスクをかけてもらって、何事も起きなかったとボケっとしてる6歳児の違い? あなたが小学校長だとしたら、どちらの子に入学して欲しいですか? この差が本当に入試本番の現場で出るんです。
教室で上履きを忘れた、なんていう時も同じです。「ごめんなさい、ママが忘れちゃったわね」ではありません。誰に謝っているのですか? 筋違いもいい所です。わが子がママに、自分が忘れ物をしたことを謝る場面ですよ。
私が先生の立場なら、「先生、今日は上履きを忘れてしまったので僕ははだしでレッスンに参加します」と高らかに宣言する子がいたら、素晴らしい子だ、と感心します。
もしもわが子が困った状況に遭遇した時に、ただ泣いて、助けを求めて、一言も話せず、立ち往生する子であったならば、今までの子育てでこのような子に育ててしまったことを親として大反省する良い機会です。知らずにこのままわが子が育つことにならずによかったではないですか。
慶応会のボスゴリラ(私)は、このような道筋でわが子と親に教えています。気づかなかっただけで、言われてみればその通りだと納得できるでしょ? でもね、ここに書かれている分には理解できても、わが身に同じようなことが起きても、まったく気づかない、というものですよ。ですから直接教えてもらわないと、親もなかなか成長できないのです。連続おわり