前回より続く2022年10月19日
前回より続く
願書を書くにも、入試時に面接で語るにも、「御校の○○が素晴らしいと感銘を受けました」と自信を持って表明できるではないですか。動機が強化できていないと、「『実は本命校と入試日が重ならなかったので、スベリ止めの1校のつもりで受けています、すみません』(と心の声が漏れそうになりながら)、御校は自然豊かな環境で、児童のみなさんの笑顔が輝く学校だったので志願しました」なんて、しょーもない志望動機を語ることになり、でもそれってまったく説得力がないじゃないですか。
私、私立小学校の入試で、学園長の隣りで面接をしておりましたからね。親の合格か不合格を判定していたのですから、これ以上確かな情報はありませんよ。
「授業中の生徒のみなさまが、凛とした表情でいらっしゃるので志願しました」とか言ったら、お鈴が鳴りますよ。「リーン」で面接終了です。そんな、どの学校で言っても差し支えないような、内容の薄い表面的な理由なんて、その学校のことを何も知りません、と言っているようなものです。
「緑が多く自然に恵まれた環境で子どもたちがのびのび育てると思いました」とかね。もう、うーんと田舎の公立小学校はみんなそうです。茨城も山梨も小学校の環境はみんなそうです。
「電車の車内で、御校の児童の方がお年寄りに席を譲っているところを拝見しまして、素晴らしい教育のもと、お育ちになっていると感心しました」というのは、その学校のことを何にも知らない親が、苦し紛れに言うセリフの定番です。
「御校の○○の校訓に沿って、親子ともに学び成長させていただきたいです」って、もっともらしいことを言っているようですが、どうしてクラスに35人の児童がいるのに、お宅のお子さんと、しかも親まで成長させる義務を本校が負わなくちゃいけないんですか、お断りです、と腹の中で思われますよ。
「施設が新しくてとてもいいです」とか「校舎が奇麗で是非うちの子を学ばせたいです」とか、そこ褒めてどうするんですか? 志願する理由のひとつではあると思いますが、「あなたと結婚したい理由は、お家が新しくて奇麗だからです」と言われたら不快でしょ?
それから見落としがちなのは、学校が胸を張って保護者にアピールするところと、志願者が志望理由として表明することは別、ということです。
「大学までの一貫校だからです」は、最低の志願理由です。それは学校側が、保護者にアピールとして言う事です。「年齢が上がっても、途中の受験準備に妨げられることなく、学びや、クラブ活動や、稽古事が継続でき、順調にわが子の成長の過程を追うことができます」と付属校であるメリットをアピールするところです。
それに乗っかって、親が志願理由で言うことではありません。それを言ったら、「うちは小学校受験で受験は終わりにして、親も子も勉強から解放されたいです」と宣言しているも同じです。だいたいそういう親の子が中学、高校で留年や放校の憂き目に合いがちです。
学校も、合格した親が油断したことによる子どもの成績不良のデータは膨大にありますから、入り口の入試で検問を行うのです。この門を通すことができるかどうか、親の覚悟を試すのですね。関所と同じ。大学までの一貫校だからなんて志願理由を、願書にも書いてはダメですよ。面接でも同じ。校長先生にそんな宣言をしたら、親の品格が疑われます。 2回続き終わり