先々週より続き 再々度山岸は申しますが、私の慶応会での仕事の3番目は、夫婦の離婚阻止なんです。2023年3月1日
先々週より続き 再々度山岸は申しますが、私の慶応会での仕事の3番目は、夫婦の離婚阻止なんです。今回、次回と鴻上さんの回答を転載します。
【鴻上さんの答え①】(鴻上尚史のなにがなんでもほがらか人生相談より転載)原文まま
ビール大好きさん。大変ですね。文章から苛立ちと混乱、苦しみが立ち上ってくるようです。
ビール大好きさんの相談を、「今月、一番、答えて欲しい相談」と僕に推薦した担当編集者(女性)は、こんな文章を添えています。
「もともとこのような相談がありましたが、とくに今回、プライド高く、妻をないがしろにする自分勝手な夫の相談がとても多かったです。さすが男女平等ランキング116位の国だけあって、男性の意識が本当に低いなあと読むだけで怒りを覚え、暗澹たる気持ちになります……(いえ、そうでない男性もたくさんいると思いますが)。でも悔しい思いをしている女性たちへ、ぜひ鴻上さんに元気づけてほしいです」
たぶん、同感する女性は多いと思います。
問題は、「ぜひ鴻上さんに元気づけてほしいです」という部分です。
僕は、正直な気持ちを言うと、ビール大好きさんを「元気づける」言葉を持っていません。というか、こんな夫の現状で、単純にビール大好きさんを元気づけることはできないのです。
だって、ただ無口とか感謝の言葉がないというならまだ分かりますよ。でも、ビール大好きさんの夫は、「『俺の方が職責が重いからそっちが休むのは当たり前』『仕事の内容が全然違う。俺がどれだけ忙しいかわかるでしょ』と平然と口に出す」んですからね。で、「いつもありがとう」「ごめんね」の一言もないんでしょう。資格も取ろうとすると「趣味でやってるの?」と言われるんですよ。「いただきます」や「ごちそうさま」、料理の感想もなく、「平日夜に私が育児や家事を引き受けていることへの感謝の言葉もただの一度もない」夫なんですよ。
とくに、この夫がやっかいなのは、ビール大好きさんへの「関心が皆無」なのに「自分のことは認めてもらいたい、ほめられたいという気持ちが強い」ということです。
通常、会話がなくなった夫婦は、お互いに無関心になり、家庭内別居状態になります。そういう冷たい関係なら、ある程度の年数は、同じ家で住むことはできます。でも、ビール大好きさんの夫は、ビール大好きさんには関心がないけれど、自分に関心をもってもらいたいと思っているんですもんね。
この現実に、「元気づける」言葉は、申し訳ないですが、僕にはありません。
そして、申し訳ないのですが、ビール大好きさんの求める「折り合い」をつける魔法の言葉もないのです。
ビール大好きさんは、「私も夫に対して何十倍にして言い返してきた」けれど、「何度話しても相手のスタンスを変えることはできない」と悟ったんですよね。僕にはやることはやったと感じられるのです。
ですから、「夫を結婚相手として選んだのは私です。悪いのは夫だけではないことも理解しています」と、自分と過去を責めるのではなく、未来を見るのがいいと思います。現実と自分の気持ちの「折り合い」をつけるためには、行動しかないと僕は思います。
次週4回連続の最終回へつづく