NY自己防衛事情③2023年7月5日
NY自己防衛事情③
自分を守るために武道を習わなければならないということはありません。武道が好きな人は精進すればいいと思います(私の友人の親友に、極真の二段という人物がいました。背も高い方ではなく、どちらかと言うと細身で、顔つきも柔らかな優男です。極真の道場に1年住み込んで二段位を獲った人物にはまったく見えませんでした。物静かな男で、ただ、私が空手のことで質問をしたときには目にスイッチが入るのですが、その時の表情は武道家そのもので、この顔と対峙したら、それだけで相手は足がすくむだろうな、と思う人物でした。要するに護身のためなら目力だけでじゅうぶん)。そうでない人は、やるべき個人のテーマはそれぞれ他にありますから、そちらに注力した方が良いでしょう。では、危険に遭遇したら、どのように対応したらいいでしょうか?
一般的な結論を先に言うならば、とにかく逃げることですね。初動で加害者と距離が5mあれば、全力で走れば逃げ切れるでしょう。10m距離が取れているならば確実です。逃げ切る脚力と持久力は大事ですが、その前に危険を予測し察知するアンテナを磨くことです。危ないやつ、と察知したら距離を取ること。スマホに気を取られて歩いていたりしたらダメでしょ。
実は今回N.Y.で、私が娘と妻との別行動で離れた時に、娘が挙動不審な白人の男に後ろから腕をつかまれて引きずられそうになった、ということがありました(誘拐目的ではなく、たぶん薬物ジャンキー)。午後2時ぐらいのタイムズスクエアで、です。白昼渋谷のど真ん中みたいな場所ですよ。
娘は男の腕を振り払うと脱兎のごとく走り、近くにいた黒人の青年たち5,6人の集団に逃げ込んだ、ということです。その青年たちが声を上げて威嚇し、不審者を退散させてくれた、との報告がありました。お世話になりました、どうもありがとう。
黒人の青年たち、と聞いて一瞬、そちらの方が危ないのでは? なんて思った方いませんか? 決めつけ事で周囲を囲んで身動き取れなくなっている人、いませんか? 何事も自分の目で見て、自分の頭で考えて、瞬時に判断して決定して行動しなければ、なんです。そのためにはどんな経験も積むことです。人に正解を教えてもらってからでないと行動できない人、多くないですか? 経験は自分で積むものですよ。
ですからピンチの時、「誰に助けを求めたら安全か」という瞬時の判定眼を養うことも大事、ということです。人間関係を平素から学ぶことが大事。今回の娘の咄嗟の危険回避は正解でしたし、おかげさまでその直後からさらに周囲に払う注意の警戒度がうんと上がりました。
でも、逃げられない状況の時はどうすればいいか? 抵抗できる腕力もない、逃げられない、そんな時はどうすれば? もう命を捨ててでも戦う以外にないでしょうね。命を捨てる覚悟を持って戦えば、命ぐらいは助かるかもしれません。そんな切羽詰まった状況に身を置くことのないように、平素から鋭敏なアンテナを張るトレーニングをしておくことですね。平和ボケ、ダメです。
親もわが子の受験の事だけ考えて、ボケっと子育てをしてちゃダメ、ってことでもあります。受験でノー天気に合格した時のことばかり想像するのでなく、不合格だった時のことを想像して、どう受け止めて、わが子にどのように話をして、どのように共有して、どうやって乗り越えていくかを想定して備えておくことをしないと、万一結果が不首尾だった時に対応できません。
わが子が不合格となった時にも、わが子のがんばりを認めてあげるのでなく、親ががっくりとうなだれてわが子の心が置き去りだった、なんて親として一番みっともないことですからね。
「最悪に備えておくこと。そして最悪な事態が起きずに、上々の首尾だったことを感謝できたこと」これが最良の受験の結果です。
他にもありました。家族3人でいた時にも未然に防いだ犯罪に遭遇しました。マディソン街のラデュレ(マカロンなどがおしゃれなお店、だそうです)でお茶とケーキでくつろいでいた時に、店に入ってきた、その店に似つかわしくない風体の二人組の老人が、口の開いた妻のバッグを後ろから物色しようとした瞬間を娘が察知し、スリ損なったコソ泥が、こちらを罵倒して店を出て行った、ということもありあました。
N.Y. 油断も隙もないです。