マイアミ・ニューヨークトラブル紀行①2023年7月26日
マイアミ・ニューヨークトラブル紀行①
旅とは日常からの脱出です。新たな知見を得るための冒険です。結局ですね、なにごとも経験してみないとわからない、ということです。小さな自分に留まらず、絶えず変化し、その度に気づきがあり成長するわけです。
人生を大きく生きる術を磨くために旅に出る、というのも一種の真実です。年長さんは受験直前の夏ですが、慶応会の夏のテーマは「大笑いして毎日過ごす」ですからね。二度とこない年長の夏休み、充実して過ごしてください。
この春、私は久々のNYで、「個人主義」とは具体的にどういうものであるかを感じ取ることができたので、私なりの解釈をお伝えします。
個人主義とは、お互いをリスペクトすることから生まれるかと実感を得ました。他人の考えを尊重することは、自分が他人から干渉されないことと同義であり、自分の権利を守るためのものかもしれません。
羽田を出発し約13時間後にニューヨークに降り立ちましたが、私はここで「待つ」という最初の学びを得ました。アメリカ人は人に待たされることに慣れています。ニューヨークに着くなり、入国審査に長蛇の列を作り順番待ちです。4年前に行った時も2時間は並びました。
今回チケット取得の関係でJALの羽田―ニューヨークの往復チケットと別にデルタ航空のJFK―マイアミの往復チケットを買ったのですが、直接トランジットできないことが思わぬトラブルを生みました。
そもそもニューヨークへのJAL便の出発が1時間遅れました。でもまあ海外路線ではよくあることですから想定内です。私は以前、ロシアの管制官が昼休みに入ったという理由で、成田離陸前の機内で5時間待機させられた経験もありますので。予備知識はありましたので、5時間余裕を見てチケットを取っておいた、というわけです。
さて4,5か所あるJFKの入国審査ブースで、私が示された3番の入国審査官が、私の前にいた入国者数人に、なにやらいろいろと書類の提示を求めて、それが時間を長引かせているのです。ドレッドヘアででっぷりとした若い審査官の指図は、見るからに横柄で不快です。こちらはイライラして待っているわけですが、ようやく一人が終わったら、今度はブースを閉め、どこかへ出かけてしまいました。
誘導係の女性に、担当者がいなくなったので隣りのブースに移らせてほしい、と抗議したところ、“Keep waiting. He will be back”「そのまま待つように、彼は戻ってくる」とか言われて憮然と待つこと10分。スタバのなんとかフラペチーノのカップを手にしたでっぷりとしたレゲエマンが戻って来て業務再開です。
日本ではまず起き得ない光景でしょうが、他のだれもが「彼は彼のペースでやっているのだから、それは認めなさい」という感じです。徹底した個人主義ですね。他人の言動は認める、その代わり自分の言動も認めさせる、と。
幸い奥のブースが空き、別の審査官がオープンマインドな表情で“Hello, Konnichiwa”と迎えてくれ、入国時に必要な全指の指紋採取と顔写真撮影とパスポートの確認をされただけで審査はあっさりと終了です。
結局、担当者の気分次第で、他者に余計な労苦を払わせる担当者もいて、それは自分が認可権を持つことを他者に示し自己肯定感を高めるためにやっているに過ぎない、ということもよくわかりました。人種的にマイノリティの彼は、今や空港で職を得たofficerですから、とにかく権力を発揮したいのでしょう。
こういうみみっちいプライドは洋の東西を問わないですね。でもそれを承認してやることで、自分のこだわりも認めさせる、ということでしょうね。つづく