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慶應義塾ニューヨーク学院 見学紀行⑤2023年9月13日

 慶應義塾ニューヨーク学院 見学紀行⑤
 「個人主義」がアメリカで徹底していることは随所に感じられることでしたが、その対照となるのは日本人の「一億総幼児主義」です。私の個人的な所感で勝手な命名ですが。

 ホテルの朝食ブッフェに用意されていた小さなペットボトルに興味を持ちました。昔見かけたコーヒー牛乳のようだったからです。試しに手に取り飲んでみると、これが実にのど越しの柔らかなアイスココアでした。とても美味しく惜別の情が募り、帰国する日に一本、スーツケースに忍ばせ持ち帰りました。
 マンハッタンのごつごつとでこぼこした歩道を歩んだ足の裏の感触を思い出しながら、相反するスムーズなのど越しと甘さのアイスココアを、ちびちびと惜しみながら二日に分けて飲みました。日本で手に入るか調べてみようとボトルを残し、常温のまま置いた一日半後、中身を洗おうと洗面台で流したところ、なんと残り5㏄のココアは乳成分がダマになって固まり、すっかり腐臭を放っていたのです。

 私は昔日の日常を思い出しました。そう、生ものってすぐに腐っていたんです。今って、食べかけで忘れていたハンバーガーの残りが、3日経っても4日経っていても、固く冷たくはなっているけれど、腐ったりしません。
 昭和の中頃、寄席で聞いた落語のまくらですが「ちょっと、おたくのおまんじゅう大丈夫なの?」、「そりゃあ心配ご無用ですとも。なんてったって手前のあんこは半分が防腐剤ですから」てえのがありましたけどね。いやな話だなぁ。
 
 牛乳なんて一日常温で置いたら腐るものです。カットした野菜なんて、普通に冷蔵しても数時間で変色するものです。それがなぜ腐らずに色鮮やかでいるのでしょう?
 日本は諸外国では使用を禁止されている添加物や防腐剤が山ほど認可されて使われている、という指摘がされていますが、そのことを今回確認した次第です。日本は先進国でもっともガンの罹患率が高いです。今時増加傾向があるのは日本ぐらいだ、という話もあります。体内に摂取する有害物質をなぜ事前に把握して排除できないのか? なぜ厚生労働省やその他規制を管轄する所轄の動きが鈍いのか? 
 私はここには利権があることは推測していますが、それ以上に、日本人が求めているものに大きな問題が存在するのだと思います。
 それは、「擁護されたい」「守られたい」「頼りたい」「自分で責任を持ちたくない」「だれかに何とかしてほしい」「自分ではやりたくない」「事前に教えてほしい」「導いてほしい」「失敗のないようにしてほしい」「自分で試すのはいやだ」「挑戦なんかしたくない」などなどなどなど……、つまり知恵のついた幼児が駄々をこねて大人に求めている状態に、一億を超える日本人がなってしまってはいませんか? ということです。

 ここの話を詰めて簡単に片づけると、日本人は、「買ってきた食材が早く腐るのはイヤだから、それなら防腐剤がたくさん入っている方がいい。もちろんガンになるのはイヤだけれど、日常の便利さを優先するならてんこ盛りの防腐剤は受容する」ということになっていませんか? 
 そしてガンになって初めて、「だってだれも教えてくれなかったし、止めなかったじゃないか、行政の責任だ、訴える、保証しろ、無料でガンを治せ」と駄々をこねるのではないですか? 自分を守ってくれるのはだれなのでしょう? 自分ではないのでしょうか? 
「それも学校で教えなかったじゃないか。文科省責任を取れ!」となりそうですよね。幼児から後期高齢者までが皆、子ども社会のようです。

 つまり、一人の自立した人間として、自らの責任の下に自立した個人の判断をし、自らの意思で行動をする、そういう行動規範を日本人は持てない人が多いことの証明です。それが悪いことと断罪するわけではありません。日本人の2020年代の精神構造と行動規範がそのようである、ということです。
 あなたはわが子をどのように教育し、どのような精神と魂を植え付けたいと願いますか?

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