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理事長通信

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⑧ 前回よりつづき2024年8月7日

 ⑧ 前回よりつづき
 野生の自然界では、弱く生まれた生命体は、この世に誕生できたとしても生きることができません。生き抜く力を神から与えられなかったためです。生きる力があり、困難に適合し、打ち勝ち、生き残って成長した者だけが子孫を残せます。
 人間界では医学が進歩し、従前では生き残ることが困難であった弱い生命体も懸命な治療のおかげで生きることができるようになりました。たとえどんな形でもいい、この子が生き永らえてくれれば、という家族の願いが叶う社会になりつつあります。
 不妊治療の技術の進歩のおかげで、10年前ならこの世に誕生することのなかった新たな命が生まれています。それは社会全体にとっても素晴らしいことです。
 医師として患者の命を救うために懸命な医療が為されています。その目的が一刻一秒でも患者の命を伸ばすこと、となると延命治療が続けられることとなります。回復が見込めない場合であっても、患者本人が延命治療を望まない場合でも、患者の意思が明確でない場合の多くは、患者はベッドでチューブにつながれた治療を受け続けることになります。

 多様性の時代だなどと言われますが、そんな言葉のなかった時代にも、日本には「あわれみ」という心情がありました。恵まれない人を思いやる気持ち、そして弱い立場の人に、自分でできる範囲でなにかをして差し上げる行動力がありました。ただし、それは個人としてできる範囲のことでしたが。
 時代が変化し、実は水面下では能力主義が根付き、努力をした者が多くの富を得、運に恵まれなかった者が貧困にあえぐ状況が続いています。要は恵まれた人が恵まれない人を省みる余裕が心から消失した世の中に変わったのかもしれません。
 すると自然発生的に弱い立場の人が声を上げ、公的に援助を求め、生きる権利を声高に主張する時代となりました。生きるための生命の叫びです(援助の必要のない人までが援助を求めるのは論外の不法行為です)。
 人の心を根本的に変えることは困難ですが、当面の弱者救済問題をお金で解決することはそれほど難しいことではないと思います。

 強い者が弱い者を扶養する以外に方法はないんです。ですからこの時に絶対に必要なことは、強い力を持つ者を一人でも多く社会が生み出すことです。私は能力の高い人、新たな技術を生み出せる人、さまざまな面で能力の高い人が社会を牽引することが必要な時代になっていると思います。日本を再生するために必要なのは、「強い人」を育てることです。
 人の成功を妬んでいる場合じゃない。人の成功を拍手で迎える日本に作り変えていかないと日本の再生はないでしょう。

 同時に、税金の使い方には多くの疑問が露呈していますが、まず弱者を助けるために必要なのはお金です。人にも会社にも力を出してもらい、収益を上げ税金を納めることです。その上で適切に、必要な人に、甘える人のためでなく公正に税が配分されることを望むのみです。
 現状の政治に絶望している日本人は多いことでしょう。政治の力を持たない一市民が今現在の政治や政府を覆すことはできません。しかし、一市民でも実行可能な行動を一人一人がとり始めれば、一市民の目で選択する基準が変わります。政治家の顔ぶれを変えることは不可能ではありません。
 まず自分が、もしも健康に恵まれて、しかも仕事があるならば、今困窮している人の心情を察し、自分にできることから行動を始めればいいと思います。社会は個人の思い次第で変えられます。
 私は以上のような思いで「強い人となる子ども」を慶応会で育てています。(終わり)

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