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理事長通信

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前回の続き②2024年8月28日

 前回の続き②
 私が夏の日に毎年、母なる海に身を浮かべ大の字になり、しばし漂いながら黙想する内容は、自身の反省についてです。

 慶応会は2004年以降、お預かりした全員の会員さんに合格をお届けしています。一人残らず全員です。入会当初から第一志望だった学校に合格できた方には最高の結果がお届けできました。必ずしも第一志望の学校ではなかったけれども、入学して改めてその学校の素晴らしさに感動した、というお声はほとんどの方からお聞きします。逆に、第一志望の学校に入学できて喜んではいたものの学年が進むにつれて学校の方針に疑問が湧いてきた、というお話を耳にすることもあります。
 いずれの場合も、学校の入学試験というものは、「わが校はこういった児童、生徒に入学して欲しい」という主張が入試問題で問われるのですから、その試験に合格できたという事は学校との適性が合ったということで間違いありません。
 ですから合格した学校に入学すれば必ずわが子は幸せになれるはずなのです。私がいつも申しますように、学校選びのキモは、「わが子が幸せになれる学校選び」であり、「親が幸せになれる学校選び」ではないということです。
 ではわが子とわが家に合う学校、適性の高い学校はどのように選べばいいのか? それが一番難しいことなのですがね。なぜならすべての親は「親の欲目」を通してわが子を見ますから、客観的な判断ができません。ほぼ絶対にできません。
 私が観察したところ、過去35年、数千人というご父母に指導をさせていただきましたが、わが子の適性を正確に判断できたママはたった一人しかいません。その方はママ自身が慶応会小学部のOGであり、母となり、授かったそれぞれまったく違う個性の3人のお嬢さんを、実に緻密かつ正確に分析し、慶応会の先生たちと作戦を共有して準備し、3人とも幼稚舎に合格させた人です。

 そのような特殊例はあるにせよ、慶応会の歴史に名を残すほどの傑物ママですから、なかなか凡例とはなりにくいものです。そこでわが子の適性を一番理解できるのは教室の先生でしょう。かかりつけの医者の先生と同じです。

 さて、それぞれの会員ご家庭に合格をお届けできて一安心をする私ですが、実際に会員さんが入学し、学校生活を始め、学校から帰宅したわが子が充実した笑顔を見せ、それを見たご父母が、「この学校に入学できてよかった」と心から幸せを実感していただけたところまでが私の背負うべき責任だという自覚があります。
 前述の通り、会員ご家庭、特に全員のご父母に100%の満足をお届けすることはやはり難しいことです。全員に第一志望合格の結果を、という目標で指導をしておりますが、なかなか難しい。
 そこで私はやはり悩みを抱えることになります。ご父母への指導する際にも、私の本意ではないようにご父母が誤解されることもまれに起きます。どう表現すれば100%理解していただけたのか? どう説得すればあの失敗は防げたのか? そういった仕事上の反省が大半ですが、身近な人への言動の反省はいつも私の心に堆積しています。
 そういった想いを念じていると、海に大の字に浮かんだ私の足先からさらさらと砂が流れ出て来るイメージが湧く、というわけです。つづく

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