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理事長通信

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昨年の新年は能登の地震で明け、2025年1月15日

 昨年の新年は能登の地震で明け、今年はロスアンゼルスの大火で明けました。地球規模で様々な災厄が起きています。今回のロスアンゼルスの大火はハリウッドの中心地の北側周辺と、西に20分ほど車を走らせたパシフィックパリセーズからマリブビーチにかけての地域が最初の被災地のようです。
 特に西側の地域はアメリカでも屈指の高級住宅地であり、いわゆる有名セレブの邸宅が並んでいます。海を見晴らし、緩やかに登っていく丘にそびえ立つ家はどれも趣向を凝らし、近年に建てられたモダンアートのような家が目を引く一方で、1960年代以前に当時の新興勢力として成功してこの地に居を構えた若い世代が建てた家もあります。そういった歴史を感じさせる家の家主は、この地の環境を作り、子育てをし、学校を卒業した子どもたちも巣立ち、静かに老後を過ごしていたことでしょう。大火前の街並みには、あたたかなファミリーの歴史を想起させるような造りの家も並んでいました。

 以前、彼の地に豪邸を構える著名人が、睡蓮の絵を屏風に仕立てたモネの大作やダ・ビンチのデッサンのコレクションを披露していたのを映像で見た記憶があります。その方の邸宅が暖炉の煙突を残して焼け落ちたことを報道で知りました。通りの並びには、煙がくすぶるガレージに、骨組みだけが残ったヴィンテージのレーシングカーも見かけました。文化遺産の損失にも心が痛みます。お住いの方々にとっては古いアルバムや思い出など、かけがえのない大事な思いの詰まった物が消失してしまったことでしょう。本当に心が痛みます。
 私は昨年6月にロスアンゼルスに立ち寄った際、現地で暮らす従妹と会ってきました。従妹ファミリーはサンタモニカで暮らしておりますので、今日現在は被災を免れているようですが、親族ですのでなおさらわが身のことのようです。

 南天の実を難転と韻を踏み、災難を転じるとしてお飾りに用います。禍を転じて福と為す、という言い方もあります。ちっぽけな人間という存在がどうして天変地異に抗うことができようものか、災害の地に放り出された人たちの苦悩に気持ちだけでも寄り添うこと以上に、自分に何ができるかを考え、行動に移そうと思います。
 
 先週末、私の弟の部屋は家具や荷物を完全撤退させ、まさしくもぬけの殻となりました。弟が生活の拠点とし、私的な空間に詰め込んだ生命を営む場であった空間は、本当にただの空いた間となってしまいました。
 私はまだ、この厄介な現生に生きる当事者ですので、パリセーズで家を失った方々の悲痛さや、この世に別れを告げて足早に立ち去った弟の思いに寄り添いつつ、この世の困難と現実的につき合い続ける覚悟でおります。

 なんだかんだ言っても、残った人は強いんです。その強さを現生で発揮していくことが、失われた思いに報いる唯一の手立てだと私は信じています。
 この世から消え失せた物も思いも、思い返して惜別するだけでなく、引き継いで生きて行くことですね。

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信頼の指導47年 慶応幼稚舎・早実・慶応横浜初等部・小学校受験・中学受験・中等部受験に勝つ!

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