数日前の出来事です。2025年2月12日
数日前の出来事です。腸にくる風邪でも引いたかなと思うような症状が私にあり、その日は軽めにランチをしようと近所に出かけました。
テラスには春先を思わせるような日が差し、私はスープとパテとパンを頼み、のんびりとした昼食を摂っていました。
食事の最中に私の斜め前方に、一人で座る着物姿の若い女性の後ろ姿が目に入りました。私の娘も成人しましたので、他所のお嬢様とはいえ晴れ着は気になります。その方のお着物は、いかにも年頃のお嬢様がお召しになる晴れ着、という感じで、白い地模様に淡い色彩の花柄が品良く映えて、対照的に深い色合いの帯も全体の印象を引き立てているように私の眼には映りました。
少し後でそのお嬢さんは席を立ち、会計に向かうために私のすぐ横を通りました。
ちらりとお顔を見ると、とても聡明そうな、楚々とした印象の方でした。後姿の晴れ着から想像した通りのいで立ちでした。しかしながら成人式には少し時機を逸した感じがするし、卒業式にはまだ早そうだし、今日は何の日だろうか、と私は首をかしげました。
そしてつい今しがたまでお嬢さんが掛けていたテーブル席に目を移すと、そこには、小瓶のビールの空き瓶がすっくりと立っているではありませんか。グラスもタンブラーもなく。は? 彼女はラッパ飲みしてたの? 輸入ビールを? あのお姿で? と私は仰天してしまいました。
日曜の真昼間、清楚な晴れ着をお召しの若い女性が、原宿のカフェで一人ビールをラッパ飲みする姿は、私の世界観では尋常ではありません。一杯景気づけて、彼女はどこへ赴いたのだろう? としばし妄想していました。しかしながら、その後に展開する情景を私は思い浮かべることができず、その日はそのままとなって、この話は終わりかなと思っておりました。
私は慶応会でさまざまな会員お母様のお悩みのご相談を承る身です。その内容は多岐にわたり、もちろん受験と子育てのことが多いのですが、人生の悩みを含め、本筋以外の内容のことも実は多いのです。それらをプロファイルしてきた膨大な解決策のデータが私の頭の中には存在するのですが、私がいくら考察を重ねたところで、所詮は男性脳での判断ですので、女性発信のオリジナルの動機や心の動きやその他女性脳に端を発することは思い浮かびません。無理です。未来永劫女性が何を考えてその行動に移るのか、そんな難しいことはわかりません。男から見たらなんと衝動的な行動であろうか、などと考えてしまうことでも、女性からしたら至極当然な感情の帰結であるのかもしれません。
慶応会の幼児英才教室を卒業して慶応会小学部に今も通う会員さんのお母様たちとは、つきあいも長いですし、忌憚なく楽しく世間話もできます。そんな折に、先日の晴れ着&ビールのお嬢さんの話をお聞きいただいたのですが、そこで発せられたあるお母様の所感は、私の愚脳を稼働し秒間100案ぐらいの発案をさせても辿り着けなかった正解かもしれません。
それは「そのお嬢さんは、彼氏がいるのに親に反対されていて、親が勧める意に沿わないお見合いにでも向かうところだったのではないですか?」ということです。
いやー、そうかも。まだまだ私は人生経験が足りないかも…。とほほ。